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非線型のmatryosika

理数系。勉強したこととか、アイデアとか。

ほかの惑星の新年を思う(3)

昨日の続きです。今日が最後です。

matryosika.hatenablog.com

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知的生命を有する惑星の一年

さて、次の考察のために、今まで考察してきた結果をまとめると、

  1. 公転周期  T は中心星質量  M と惑星の平均軌道半径  r を用いて {\displaystyle T\propto M^{-\frac{1}{2}}r^{\frac{3}{2}} \tag{1}} と表される(Keplerの法則)。
  2. ハビタブルゾーンの距離  r は、中心星光度  L を用いて、 \displaystyle L\propto r^2 \tag{3} と表される。
  3. 中心星の質量光度関係: \displaystyle L\propto M^3. \tag{4}
  4. 知的生命体を有する惑星系の中心星はG型星であり、太陽質量の  \pm 30\% である。

となります。これらの条件から、知的生命を有する惑星の1年の長さがどのくらいの時間幅になるのかを計算してみましょう。(3)式と(4)式を合わせれば、 r^2\propto M^3 すなわち、 r\propto M^\frac{3}{2} がわかり、これを(1)式に代入すれば、 {\displaystyle T\propto M^{\frac{7}{4}} \tag{5}}が従います。この式は中心星質量と、知的生命を有する惑星の1年の長さの関係を表す式になります。

さて、この式を用いて、知的生命を有する惑星の1年の値を具体的に求めてみましょう。この計算のためには「中心星がG型星である」という条件を使います。 M にG型星の質量範囲である0.7-1.3 太陽質量という値を代入すれば、 T は0.536-1.583 地球年、つまり195.5-577.7 地球日という値となります。つまり、知的生命が存在する惑星の1年は、数百地球日程度であると言えます。

未だ見ぬ知的生命はどんな体の構造をしているか見当もつかず、それゆえ彼らの生理的時間は桁で異なる可能性も捨てきれません。しかしながら、今回の考察で、彼らの「1年の長さ」は地球のそれとそんなに変わらないということが分かりました。おそらく、彼らの文明においても、社会的時間周期として「1年の長さ」が重要であるはずですから、彼らと人類で共有しやすい時間感覚なのではないかと思います。

今回の記事は「地球に似た惑星であれば1年の長さも似ている」というごく当たり前の事実を確認しただけですが、どのくらい似ているのかというのは重要な問題です。きっとこの結果は500年後くらいには使えるかもしれないので、皆さんも覚えておくといいかもですね。

ほかの惑星の新年を思う(2)

昨日の記事のつづきです。

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知的生命体が存在する惑星系

知的生命体の発生条件というものを考えるとき、

  1. 生命の発生条件
  2. 生命圏の持続条件

を論ずることが大切であり、これらの条件がどう  M r に影響するのかを考えます。

まず、1について考察してみましょう。生命の発生条件はよくわかっていないのですが、ここでは、「液体水が存在すること」とざっくりおいてみましょう。惑星系に於いてこの条件を満たす領域をハビタブルゾーンといいます。ハビタブルゾーンは中心星を取り囲む円環状の領域であり、地球軌道は太陽系のハビタブルゾーンに含まれています。円環状の領域の内側では中心星に近いために液体水はすべて蒸発し、外側では凍り付いてしまいます。

このハビタブルゾーンの距離  r は中心星の光度  L(単位時間当たりの放出エネルギー)で決まります。Stefan-Boltzmannの法則というものを使えば、光度$L$の中心星からある距離  r を回る惑星の温度(放射平衡温度)  \tau を知ることができて、 \displaystyle \tau=\left(\frac{L}{4\pi r^2\sigma}\right)^\frac{1}{4}\tag{2} が従います。ここではハビタブルゾーンを考えるので、温度を固定すれば、 \displaystyle L\propto r^2\tag{3}というハビタブルゾーンを規定する式が得られます。

次に、2番目の条件について考えてみます。生命圏の持続可能性は知的生命体に進化するための時間的余裕の必要性から来るものです。地球の場合は生命圏誕生から40億年程度かかって知的生命体が生まれているので、知的生命体存在の条件としては中心星の寿命も長いものがいいと言えそうです。

ここで、恒星の性質について述べておきます。恒星はその一生の大部分を主系列星という、中心部で水素の核融合が起こっている段階で過ごします。恒星には様々な温度や明るさを持っているものがありますが、主系列星というのはその中でも「表面が高温であれば明るく、低温ならば暗い」という関係が成立している恒星です。ちなみに、恒星の光は黒体放射なので、高温なものから順に「青、青白、白、黄、橙、赤」となり、主系列星の関係は「青っぽければ明るく、赤っぽければ暗い」とも言い換えることができます。主系列星は、温度でさらに細かく分類すると、高温なものから順に、「O型・B型・A型・F型・G型・K型・M型*1と呼ばれます。太陽はG型星に分類され、G型星は表面温度が5000-5700度、黄-黄白の光を放つ恒星です*2

そもそも、恒星の明るさは核融合の激しさに対応しています。核融合反応が激しければ激しいほど大量の水素を消費し、その分大量のエネルギーが発生します。また、この反応の激しさは、中心部の圧力が大きいほど激しく、中心部の圧力は恒星の質量が大きいほど大きくなるので、結局は、「質量が大きければ明るい」と言えます。理論的には、質量  M と光度  L の間に、 \displaystyle L\propto M^3\tag{4}の関係があることが知られています(質量光度関係)。さらに、核融合が激しければ激しいほど水素の消費が激しいため、恒星の寿命が短くなるという性質もあります。

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さて、話を戻して知的生命体の発生条件の2番目の条件について考えますが、中心星の寿命が長いほうが知的生命体の発生に有利であるので、軽い恒星を中心とした惑星系が有利であると言えそうです。しかし、軽すぎるのも実はよくないのです。

軽い恒星周りの惑星系では、式(3)から、ハビタブルゾーンが恒星に近いところにやってくることになります。しかしながら、恒星に近いところでは、恒星からの強大な潮汐力が中心星に対する惑星の向きを固定し、中心星の光が当たる半球(昼半球)と当たらない半球(夜半球)ができてしまいます。このような惑星を同期回転惑星と言います。同期回転惑星の生命圏は非常に狭いものになることが予測されており、持続的な生命圏を生み出すのに不利な条件であると言えます。また、別の研究ではありますが、惑星系の形成をシミュレーションした研究でも軽い恒星は不利であるということが示唆されています。

www.titech.ac.jp

以上から、知的生命体が存在する惑星系はG型星周りの惑星系であるとざっくりおいてみることにします。これによって、恒星の質量範囲が太陽質量±30%と制約できます。

 

~つづく~

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*1:Oh Be A Fine Girl Kiss Meと覚えます。

*2:太陽の表面温度は5500度、黄白の光を放っています。

ほかの惑星の新年を思う

皆さま、あけましておめでとうございます&お久しぶりです。

いろいろ忙しく、ブログに手がつかない状況でした。2016年は大学院修士課程に進学し、研究でハワイへ行ったり三重へ行ったり、月の石の解説員をしたりいろいろ充実した一年でした。2017年もリアル/ブログともども充実させたいものです。

さて、毎年、年末になると地球が約一周したのだなあとか考えるんですけども、0:00の瞬間に胸躍っている自分を見つめると、ああ、自分はやっぱり地球人なのだなあと思うわけです。しかしながら、これに関して最近ある可能性に気づき始め、31日はこの可能性がどのくらい妥当かを検証していました。その可能性というのは、「異星の知的生命と時間感覚を共有するとしたら地球の1年の長さは結構妥当な時間長かもしれない」というものです。今日はこれについて考察します。

クロノバイオロジー

異星の知的生命体にとっての時間感覚というものはどのようなものなのでしょうか。生物が感じている時間で最も基本的なものは心拍数なのだということを聞いたことがあります。哺乳類の生涯拍動数は固定されていて、心周期が生物個体の感じている「時」を定めているというものです。ちなみに、人間の場合は心周期が1秒程度らしいです。しかしながら、異星生命体と時間感覚を共有する際にはこれは不都合です。なぜならば、上記の話は哺乳類に限定した話であり、そもそも異星生命体に地球生命のような循環器を求めることすら難しいかもしれないからです。

では、ほかにどのような時間感覚があるのだろうかと考えると、1日、1月、1年の長さに従った生物周期があることが知られています。これらを概日リズム概月リズム概年リズムと呼びます。これらのリズムの起源は、地球惑星科学的に説明することができて、それぞれ、地球の自転周期(昼夜の周期)、月の公転周期(満ち欠けの周期)、地球の公転周期(季節変化の周期)によって強制されていると言えます。どの周期も地球ー月ー太陽のシステムに固有なもののように見えますが、他の惑星系で共有できるものなのでしょうか。

まず、概日リズムや地球の自転周期について考えてみましょう。そもそも、自転周期というのは、惑星の材料物質(微惑星やガス)が持っていた角運動量や、原始惑星同士の衝突、衛星や太陽との潮汐相互作用で決まるもので、これは偶然によって定められると考えてよさそうです。

概月リズムや概年リズムは公転周期で強制されていますが、小天体が大天体の周りをまわる周期 $T$ というのは、大天体の質量  M と小天体の平均軌道半径  r を用いて、次の比例関係式で表されます。 \displaystyle T\propto M^{-\frac{1}{2}}r^{\frac{3}{2}}.\tag{1}これはいわゆるKeplerの第三法則というやつです。概月リズムを司る月の公転周期は、地球質量や月の軌道半径が決めていますが、これは偶然によって決まるものと考えられます。なぜならば、地球質量は太陽系ができたときに地球軌道付近にどのくらい材料物質があったのかで決まりますし、月の軌道パラメータは、月ができたときのジャイアンインパクトの様子で変わってきます。そもそも、今想像している惑星には衛星がない可能性すら考えられ、この場合は概月リズム自体が存在しません。一方、概年リズムはどうでしょうか。概年リズムを司る地球の公転周期は、太陽の質量と地球の公転半径で決まり、これも偶然で決まる要素です。しかしながら、「知的生命体の発生条件」というものを考えれば、中心星質量  M と惑星の軌道半径  r に制限を加えることができるかもしれず、そうであれば、地球生命の概年リズムと異星生命の概年リズムは似ているのではと思ったりしたのが今回の動機となります。

 

~つづく~

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2週間ぶり…

お久し振りです。

ジオフェスティバルの事を書くと言ったのですが、お手伝いに入ってしまい、なかなかレビューを書けるほど見てこれなかったので書けませんでした(笑) またの機会にゆっくり観に行けたらいいですね。次に行けるとしたら旭川のジオフェスでしょうか。楽しみです。

夏休み終わっちゃった…

お久し振りです。前回の投稿から1か月が経ちました。実習や卒研中間発表があったりと色々忙しかったもので…。やりたいことがたくさんあったけど、持ち越しになりそうです。

今週末に札幌市青少年科学館でジオフェスティバルがあるので、その次の記事はその報告にしようかなと考えてます。

ではでは。

最近、勉強してみたいと思ってること

研究が計算機をバリバリ使う所なので、色々勉強しなきゃなーと思うこのごろ。数値計算の分野の勉強を敬遠していたツケが回ってきたようです。

とりあえず、卒論では有限要素法をやらねばと思っているのでそれを勉強します。あと、個人的に気になっているので、SPH法とシンプレクティック数値積分を勉強しようと思ってます。SPHは天体衝突に使えるみたいだし、タイムスケールが大きい多体問題での積分にはシンプレクティックがいいのかなと。シンプレクティックな分野は、数値計算以外のとこは結構勉強したつもりなので、お友達にはなりやすいかもしれません。

院試を終えて

昨日今日と院試でした。計算が遅いので、こういった試験はとてもつらいです。ゆっくりじっくりマイペースな人間なので。

そして、問題を解いてて思ったのが、勉強した内容を結構忘れているということ。式の意味・解釈などは日ごろから大事にしているので、忘れてしまうことはないのですが、いざそれを使って具体的な問題を解くとなると話は別です。

ということで、勉強の必要性を感じるこの頃。勉強した内容をいろいろ振り返ってこのブログにまとめるのもいいかもしれませんね。

ついでと言っては何ですが、この前見に行ったペルセウス座流星群の写真はっておきますね。

星流れる夜に

試験前に見る流星群、きれいでした()